思い邪なし

思い邪なし31 隠れ念仏(一)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

隠れ念仏(一)

 稲盛は幼い頃、

 「流しに熱湯を捨てないといけないときは、シジンさんに『ごめんなさい』と声をかけてから流しなさい」

 そうキミから念を押されていた。“シジン”とは水神のなまった言葉である。万物には神が宿っている--そんな思いを抱かせるような教えが、日常の中に生きていたのだ。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。