思い邪なし

思い邪なし36 泣き虫からガキ大将へ(四)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

泣き虫からガキ大将へ(四)

 夕方、暗くなるころになってようやく解放され、キミは和夫の手を引きながら家路についた。

 道すがらキミは、

 「和ちゃん、なんでそんなことをしたの」

 とは言ったが、叱らなかった。あくまでも優しい母であった。

 気が重かったのは畩市(けさいち)のことだ。今日ばかりは雷を落とされるだろうと覚悟した。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。