孔子は働く人の水先案内人

二千年の昔も今も変わらない「人の育て方の難しさ」

羽深成樹・前内閣府審議官
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 昔仕えた上司に、二つのタイプがあった。上司から課題を与えられ、回答をペーパーにまとめて提出した時の対応についてである。

 一人は、どんな回答でも、ニコニコしながら「ありがとう」といって受け取る上司。こんな上司は楽だが、出来がいいのか悪いのか、どう評価されているのか分からない。後で「あの人は、愛想よくペーパーを受け取るが、出来の悪いのは破ってゴミ箱に捨てている」という話を聞いた時には、背筋が寒くなったのを覚えている。

 もう一人は、おっかなく厳しい上司。ペーパーをしばらく読んだ後、理由も言わずに「やり直し!」。どこがどう悪いのかを教えてもくれない。全体の構成や理論の運びを変えて再挑戦し「やり直し!」を2~3回繰り返すと、次は、文章の細かい表現を徹底的に直された。

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羽深成樹

前内閣府審議官

1958年千葉県生まれ。81年東大法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。大蔵省主計局主査、防衛省大臣官房審議官、首相秘書官、財務省主計局次長、内閣府政策統括官などを経て、内閣府審議官。2017年7月退任。著書に「論語と『やせ我慢』」(PHP研究所)。