思い邪なし

思い邪なし38 最初の受験失敗(一)

北康利 / 作家

第一章 勝ちに見放されたガキ大将

最初の受験失敗(一)

 昭和十九年(一九四四年)の春、稲盛に進学の季節がやってきた。彼は迷わず名門鹿児島一中(現在の鶴丸高校)に挑戦することを決意する。

 鹿児島一中は、秀才中の秀才でなければ入学できない最難関だ。ところが稲盛の成績は、一年生の時こそ甲ばかりだったが、今ではほぼすべて乙という“まあできる子”というレベルでしかない。おまけに例のえこひいきする先生の心証は最悪だ。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。

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