
自営業者などに身近な金融機関が信用金庫や信用組合。人口減少や金利低下が進む今、「協同組織」としての役割が問い直されている。週刊エコノミスト12月5日号の巻頭特集「本当はすごい信金・信組」よりダイジェストでお届けする。(金融ジャーナリスト・浪川攻+エコノミスト編集部)
し烈な貸出先の奪い合い
「明日、当金庫の理事とおじゃましたい」──。
今年春のある日、東京都港区で部品製造業を営む社長のもとに、都内の大手信用金庫の担当者からの突然の電話が入った。翌日、社長が出迎えると、信金の理事が開口一番に切り出した。「御社の借り入れを当金庫に一本化してほしい」。要するに、他の金融機関からの借り入れを自分のところに移す、いわゆる「肩代わり」をしたいというお願いだ。そのために理事が提示した条件は「他の金融機関よりも0.3%の金利引き下げ」だった。
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