藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

“岐阜羽島状態”の不便な駅が並ぶ「台湾新幹線」

藻谷浩介・地域エコノミスト
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高鉄・台南駅のホーム。九州新幹線とどことなく似た空気感がある(写真は筆者撮影)
高鉄・台南駅のホーム。九州新幹線とどことなく似た空気感がある(写真は筆者撮影)

 2007年に開業した「台湾高速鉄道」(高鉄=台湾新幹線)。日本と同じように専用軌道を走り、日本の700系車両が走る。だが日本の新幹線と違って、台北以外の駅はことごとく郊外に新設されていることを発見。この路線設計が、新幹線の収支や、台湾の国土構造にいかなる影響を及ぼしているか。台湾新幹線に乗って考えた第2回。

 台北(タイペイ)駅から乗った、高雄(ガオシォン)方面行きの台湾高速鉄道(高鉄=ガオティエ)。駅に着いて10分もかからずに券売機で指定券を買って飛び乗れるお手軽さは、日本の新幹線と同等だ。時速300キロメートルで快適に走るが、途中駅・台中(タイチュン)の位置が市街地から遠く離れているのを見て、線路設計の欠陥に根差す構造問題を感知する。

 台中駅を出て50分、列車は台南駅に止まった。日本で言えば広島や仙台と同規模の都市圏人口を持つ“台湾の京都”とも言われる古都だ。しかし高鉄の駅は市街の南東に18キロ離れた田園の中で、1時間に2本ある台鉄の連絡列車に乗っても、バスやタクシーでも、都心まで30分はかかる。しかも、台中も台南も同じだが、台北から来た場合には一度通り過ぎてから戻るような位置に駅があるので、移動の際に感じる不便さはさらに増す…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。