海外特派員リポート

大きさだけが注目される“トランプ大減税”の落とし穴

清水憲司・毎日新聞経済部記者(前ワシントン特派員)
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トランプ米大統領=2017年11月6日、高本耕太撮影
トランプ米大統領=2017年11月6日、高本耕太撮影

 米トランプ政権と共和党は、法人税(連邦税)を現行の35%から20%に大幅に減税し、所得税も最高税率(39・6%)の引き下げを視野に入れた税制改革の年内決着に突き進んでいる。

 中西部カンザス州では州知事と共和党主導の大減税政策がとん挫した(前回「大型減税で予算に大穴が開いた米カンザス州の“教訓”」)。トランプ政権とカンザス州知事の減税策が共通するのは、減税で企業や富裕層が潤えば景気が盛り上がり、恩恵が社会全体に波及するという「トリクルダウン(滴り落ち)理論」が背景にある点だ。いずれも1980年代にレーガン政権で大型減税を主導した著名経済学者アーサー・ラッファー氏の助言を受けた。

 米連邦議会で審議中の法案は、カンザスで「0%」が実施された「パススルー課税」の税率引き下げも盛り込むが、これは課税逃れを助長する懸念が根強い手法だ。高額所得者でも法律を駆使して「個人事業主」と認められれば、所得税の最高税率39・6%ではなく、新税率である25%が適用される可能性があるためだ。新税率を適用する際、「雇用創出」などの条件を設定していない点も共通だ。

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清水憲司

毎日新聞経済部記者(前ワシントン特派員)

 1975年、宮城県生まれ。高校時代まで長野県で過ごし、東京大学文学部を卒業後、99年毎日新聞社に入社。前橋支局を経て、東京経済部で流通・商社、金融庁、財務省、日銀、エネルギー・東京電力などを担当した。2014~18年には北米総局(ワシントン)で、米国経済や企業動向のほか、通商問題などオバマ、トランプ両政権の経済政策を取材した。