思い邪なし

思い邪なし44 稲盛家の戦後(一)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

稲盛家の戦後(一)

 六月の大空襲でも稲盛家は奇跡的に焼け残ったが、喜んだのもつかの間、終戦の日の前々日の爆撃で印刷機や自動製袋機もろとも焼かれてしまう。そして昭和二十年(一九四五年)八月十五日、日本は終戦を迎えた。

 ついに家族全員、小山田へ疎開せざるをえなくなった。

 避難した家財道具もあり、堆肥(たいひ)小屋だけでなく、隧道(ずいどう=トンネル)に掘られたガマ(洞窟)も使わせてもらった。

 先日、筆者は現地を訪れたが、今では凝灰岩の天井が崩れ、裏道へ抜けていた隧道は行き止まりとなっていた…

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。