辻野晃一郎の「世界と闘え」

元山一社員の活躍に見る「働き方改革」実現のヒント

辻野晃一郎・アレックス株式会社代表取締役社長兼CEO
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自主廃業決定後、涙を流しながら会見する山一証券の野沢正平社長(当時)=1997年11月24日、河内安徳撮影
自主廃業決定後、涙を流しながら会見する山一証券の野沢正平社長(当時)=1997年11月24日、河内安徳撮影

 今年は「働き方改革」の話題が盛り上がった。そもそも「働くことは生きること、生きることは働くこと」と捉えれば、生き方が人によって違うように、百人百様の働き方があるのが自然だ。働き方を議論する根底には、人によって異なるさまざまな働き方を尊重するというスタンスがまずは何よりも大切なのではないだろうか。

 福澤諭吉の心訓七則(実際の作者は不明)は、「世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つということです」という第一則に始まり、第三則には「世の中で一番さびしいことは、する仕事のないことです」とある。すなわち我々にとって、本来「働く」ことは楽しいことであり、喜びであり、生きがいともなるものだろう。

 しかしながら、政府の働き方改革の議論やそれに呼応した企業の動きから見えてくるのは、「長時間労働の上限規制」や「同一労働同一賃金をはじめとした正社員と非正規社員の格差是正」といった話ばかりだ。

 実際、「残業や休出などの長時間労働に耐えてやりたくもない仕事を頑張ってやっているのに、一向に給料も上がらなければ待遇も改善されない」といった働き手のストレスや不公平感が極限まで高まっている社会背景があるのは事実だろう。

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辻野晃一郎

アレックス株式会社代表取締役社長兼CEO

1957年福岡県生まれ。84年、慶応義塾大学大学院工学研究科を修了し、ソニー入社。VAIOなどの事業責任者、カンパニープレジデントを歴任。2007年、グーグルに入社し、その後、グーグル日本法人代表取締役社長に就任。10年4月にグーグルを退社し、アレックス株式会社を創業。著書に「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」(新潮社)、「リーダーになる勇気」(日本実業出版社)、「『出る杭』は伸ばせ! なぜ日本からグーグルは生まれないのか?」(文芸春秋)などがある。