藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「韓国KTX」の融通無碍な始発駅・路線運用の賢さ

藻谷浩介・地域エコノミスト
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奇抜なデザインの光州松汀駅(写真は筆者撮影)
奇抜なデザインの光州松汀駅(写真は筆者撮影)

 「飛行機に対抗できる都市間高速鉄道」というジャンルを、1964年開業の東海道新幹線が切り開いて半世紀。日本発のこのイノベーションは世界に広がり、日中韓や西欧では主要都市が高速鉄道網でネットワークされる時代となった。日本の国土構造を大きく変えたこの発明は、他国ではどのような使われ方をしているのか。台湾、韓国、中国での乗車機会にそれぞれ観察した、「所変われば品変わる」、あるいは「変わらず」の実態。その韓国編第1回。

 2016年11月。大学からの講演依頼で、ソウルに行く機会を得た。幸い、ソウルの後に釜山にもう1泊する余裕がある。著者多年の懸案であるKTX(韓国高速鉄道=ハングッコソクチョルト、日本でいう韓国新幹線)試乗のチャンス到来だ。

 KTXは大別すると、ソウルから南東の釜山(プサン)などに向かう京釜線(キョンプソン)系統と、南西の全羅道(チョルラド)への湖南線(ホナムソン)系統に分かれている。単に釜山に直行するのも芸がないので、まずはまだ行ったことのない光州(クゥアンジュ)に湖南線で向かうこととした。韓国西南部の中心都市で、軍政の撤廃を求めるデモ隊が流血の鎮圧を受けた光州事件の故地である。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。