海外特派員リポート

「銀行強盗も退散!?」現金が消えたスウェーデンの今

三沢耕平・毎日新聞経済部編集委員(前ロンドン特派員)
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現金による商品購入ができないパン店。女性店員は「現金に触らないことで衛生的なメリットがある」と話す=ストックホルムで2017年11月18日、三沢耕平撮影
現金による商品購入ができないパン店。女性店員は「現金に触らないことで衛生的なメリットがある」と話す=ストックホルムで2017年11月18日、三沢耕平撮影

 世界の中央銀行がデジタル通貨の研究に動き出している。その先頭を走るのがスウェーデンだ。早ければ2018年中にデジタル通貨「eクローナ」発行の結論を下す予定で、実現すれば世界初。首都ストックホルムの街中を歩くと、既に現金決済が消えつつあり、お金の常識が変わろうとしていた。

 「すみません、現金は使えません」。旧市街のガムラスタンから電車で南へ20分。11月中旬、繁華街のパン屋に入ると、クロワッサンを購入しようとしていた外国人旅行者に女性店員のイザベラさん(21)が頭を下げていた。

 スウェーデンでは、2000年代に入って急速にキャッシュレス化が進行。現在、現金支払いは全決済のわずか2%にすぎない。スウェーデンの中央銀行、リクスバンクによると、財布の中に現金を入れていない人も15%に上る。2年前にクローナ紙幣のデザインを一新したが、イザベラさんは「もう1年半以上、現金を使っていないので、紙幣のデザインは覚えていない」と話した。

 クレジット、デビットカードすら時代遅れのようだ。多くの国民が決済に使うのが「SWISH(スウィッシュ)」と呼ばれるスマートフォンのアプリ。02年にスウェーデンの大手6銀行が共同で立ち上げたシステムで、その利用率は国民の半数以上、若年層(19~23歳)に限れば95%に達する。

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三沢耕平

毎日新聞経済部編集委員(前ロンドン特派員)

1972年千葉県生まれ。明治大学法学部卒。98年毎日新聞社入社。松本、甲府支局を経て、2004年から経済部で財務省、日銀、財界などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。16年10月から欧州総局特派員。19年10月から経済部編集委員。