思い邪なし

思い邪なし48 薬学部を目指して(一)

北康利 / 作家

第一章 勝ちに見放されたガキ大将

薬学部を目指して(一)

 市立鹿児島商業学校の普通科で二年間を過ごした後、他校との統合により一学年五百名の大所帯となった新制玉龍高校で、高校生活最後の一年を過ごすこととなった。

 最初のうち、鹿児島商業から合流した稲盛たちは学力が低いのではないかと軽く見られていたが、稲盛と川上は最初から学年トップクラスの成績を取り、先生にわざと難しい質問をして困らせる余裕さえ見せた。

 高校三年生になるのを機に、稲盛は従業員込みで袋を売る仕事を兄に任せることにした。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。