
金融庁は銀行など金融機関に「担保・保証に依存しない融資」を求め続けている。企業の事業性をきちんと判断して融資せよ、という話である。金融行政上、その流れの到達点が「金融検査マニュアルの廃止」である。金融庁は現行の「金融検査マニュアル」を2018年度終了後に廃止する方向だ。
現行の「金融検査マニュアル」はかつての金融危機の最終局面で、金融機関が抱え込んだ不良債権のあぶり出しを目的として策定・導入された。それは、いわゆる「チェックリスト方式」と呼ばれるチェック項目を活用した手法で、厳格な資産査定や法令順守を促すものである。日本の金融システムへの信頼を回復するために、こうした手法がとられた。
不良債権問題が一巡した後にも、このマニュアルによる金融庁検査が続いた。このため、必要以上に厳しい資産査定が金融機関側に浸透し、貸し出し債権の保全を過剰に意識した「担保・保証に依存する融資」が定着してしまったというのだ。
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