藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

中国高速鉄道 大陸的巨大駅間を無味乾燥に定時運行

藻谷浩介・地域エコノミスト
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上海虹橋駅に並ぶ和偕号。先頭車両はさまざまな形がある(写真は筆者撮影)
上海虹橋駅に並ぶ和偕号。先頭車両はさまざまな形がある(写真は筆者撮影)

 「飛行機に対抗できる都市間高速鉄道」というジャンルを、1964年開業の東海道新幹線が切り開いて半世紀。日本発のこのイノベーションは世界に広がり、日中韓や西欧では主要都市が高速鉄道網でネットワークされる時代となった。日本の国土構造を大きく変えたこの発明は、他国ではどのような使われ方をしているのか。台湾、韓国、中国での乗車機会にそれぞれ観察した、「所変われば品変わる」、あるいは「変わらず」の実態。その中国編。

 中国の高速鉄道(時速200キロ以上での走行区間)は、いまや、北は満州のチチハルから南は海南島内、東は北朝鮮国境近くから西は西域のウルムチまで、広大な国土に張り巡らされ、総延長は2万キロを超えている。

 2011年7月に死者40人を出した温州(ウェンジョウ)での追突事故は、今でも多くの方がご記憶だろう。確かに、新幹線が「追突」した上に、当局が「現場に事故車両を埋めようとしていた」という話にはあきれるしかなかったのだが、以降6年以上、目立った事故の報道はない。現状はどうなっているのか、乗らずして実態を語れるわけもないのである。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。