思い邪なし

思い邪なし57 松風工業入社(一)

北康利・作家
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第二章 京セラ設立

松風工業入社(一)

 稲盛が入社した松風工業という会社は京都の南の郊外(現在の長岡京市)にあった。明治三十九年(一九〇六年)、清水焼窯元の三代目松風(しょうふう)嘉定(かじょう)によって創業され、高圧碍子(がいし)を日本で初めて製造した名門企業である。

 碍子は電線を支柱などに絶縁固定する器具をいい、当初は陶磁器メーカーが取り扱う例が多かった。松風工業が京都で創業したのも、京都に焼き物の長い歴史があったためであり、そうした京都という土地の持つ歴史的バックボーンは、その後の京セラにも引き継がれていくことになる。

 セラミックスの語源はギリシャ語にある。動物の角の形状に作った容器をケラミオン(KERAMION)と…

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。