良い物をより高く売る経営

百貨店の遊園地とサントリー若者戦略の意外な共通点

中村智彦・神戸国際大学教授
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家族連れでにぎわう丸広百貨店川越店の屋上遊園地=2014年12月21日、大島英吾撮影
家族連れでにぎわう丸広百貨店川越店の屋上遊園地=2014年12月21日、大島英吾撮影

 埼玉県川越市の丸広百貨店川越店には、観覧車などのある屋上遊園地や大食堂などを備えた「昭和の百貨店」の姿がある。これが「家族で百貨店に行く」という習慣を作る装置となっており、地元の買い物客を中心ににぎわっている。

 この「習慣を作る」という視点からは、サントリーのビール事業の成功事例が思い浮かぶ。その事例を紹介するとともに、百貨店の活路について考えてみたい。

 サントリーのビール事業は、積極果敢に「習慣を作ってきた」事例だ。サントリーは、1963年にビール製造に参入したが、当初は全く売り上げが伸びなかった。キリン、サッポロ、アサヒといった競合の壁にはね返され、特にキリンの市場での強さには歯が立たなかった。

 そこでサントリーはある調査を行った。消費者に「あなたは、なぜキリンビールを飲むのですか」と問うと、驚くべき結果が出た。「最初に飲んだビールがキリンで、ビールとはキリンの味である。他のものはビールではない」という回答が多数を占めたのだ。ビールを飲む人には、「キリンビール」が刷り込まれていた。

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中村智彦

神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にも出演。