
銀行は預金口座に手数料を設定するのか──。年末以降、この話題が次第に広がっている。マイナス金利政策が長期化する見通しの中で、収益悪化が避けられない銀行の台所事情を反映したものだ。だが、顧客からの反発、拒絶反応は必至である。それを覚悟で口座手数料を導入する銀行は現れるのだろうか。
銀行経営の立場に立てば、「預金はコスト」とも言える。預金者に金利を払うからだ。だが、預金者から預かったお金を融資したり国債などで運用したりして、利ざやを稼ぐことで銀行は高い利益を上げてきた。
ところが、低金利の長期化で、融資金利や国債の利率が低下し、利ざやをあげることが難しくなってきた。それでも銀行には、まだ利ざやを稼ぐ最後の手段があった。それは銀行同士で短期のお金を貸し借りする「コール市場」と呼ばれる短期金融市場で、多少なりとも利ざやが得られたからだ。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。