藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ニューヨークが本領発揮した都市再生例「ハイライン」

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ニューヨーク・マンハッタン南部に誕生した「ハイライン」(写真は筆者撮影)
ニューヨーク・マンハッタン南部に誕生した「ハイライン」(写真は筆者撮影)

 世界貿易センタービルへのテロ攻撃が、混沌(こんとん)の21世紀の幕開けを告げてからはや17年。深い傷を負ったニューヨークも、世界中から人の集まる集客交流都市として一層パワーアップした姿を見せるようになった。老朽都市インフラのリニューアルが進められ治安の悪い地区も劇的に減少している。私の定点観測の一つニューヨークの再生の現場で気付く、まちづくりの“NYらしさ”と創造性、そして難しさ。

 2017年10月、ボストンでの講演の際に立ち寄ったニューヨーク。知人との会食まで3時間少々の余裕があった。せっかくの機会なので、あれこれ聞いたままで未確認になっていた場所を確認しよう。行き先は、まずは3年前におおむね完成を見た「ハイライン」、「グラウンド・ゼロ」(世界貿易センタービル跡地)、2年前と昨年に開通した地下鉄の新区間などだ。

 英語はシンプルだ。「ハイライン」はすなわち「高い線」。マンハッタンの西南部に放置されていた高架の旧貨物線の一部を、延長2.3キロの遊歩公園に造り替えたものである。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。