思い邪なし

思い邪なし68 スト破り(一)

北康利・作家
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スト破り(一)

 忙しいさなかの昭和三十二年(一九五七年)春、賃上げ交渉と人員削減問題がこじれ、松風工業に大規模なストが発生する。

 戦後、労働組合運動が活発化していたが、京都は蜷川虎三知事の革新府政(一九五〇~七八年)が長期に及んだことでも分かるように左翼勢力が強く、労働組合運動の熾烈(しれつ)さは全国で指折りであった。

 ことに松風工業は業績が悪化していたこともあり、労使交渉はしばしば激しいものとなっていたが、折も折、稲盛が必死に松下電子工業からの受注に合わせて頑張っていた時に交渉が決裂し、ストライキに突入するのである。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。