
ニューヨーク・都市再生の現場編(2)
9.11テロ後、久しぶりに訪れたニューヨークの世界貿易センタービル(ツインタワー)跡地は心を打つメモリアル施設として整備されていた。だがその記念碑や隣に建設されたかつてのツインタワーを上回る高さの超高層ビルを見るにつけ、米国自身が持つ内在的矛盾も感じる。
かつて見た無残な「グラウンド・ゼロ」
2017年10月。マンハッタン・ハドソン川沿いの「ハイライン」を北から南に歩いた筆者は、地下鉄で世界貿易センター駅まで南下した。
その真横にあった110階建てのツインタワーは、2001年9月11日、ハイジャックされた2機の旅客機による自爆攻撃という前代未聞のテロによって、同じ敷地内の他の5棟のビルを巻き込みつつ崩落した。英語圏でいう「9.11(ナイン・イレブン)だが、以来「グラウンド・ゼロ」(爆心地)と呼ばれるその跡地は、今はどうなっているのだろうか。
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藻谷浩介
地域エコノミスト
1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。