思い邪なし

思い邪なし72 一回目の辞職願(三)

北康利・作家
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第二章 京セラ設立

一回目の辞職願(三)

 内野先生の言葉に目が覚めた稲盛は、パキスタン行きをきっぱりとあきらめた。

 だがパキスタンへの電気炉輸出は松風工業にとって大事な商談だ。誰かが現地に行って試運転したり操作の指導をしないといけない。代わりに白羽の矢が立ったのが元部長の青山政次だった。彼は松風工業の再建に入っていた銀行出身役員からリストラ対象と目され、社長室付という閑職に追いやられていた。

 「稲盛君に今抜けられたら困るが、君はどうせ暇だろう」

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。