思い邪なし

思い邪なし74 結婚を決意する(二)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

結婚を決意する(二)

 インタビューの際、デートのことだけは聞き出せた。

 「確か映画を見に、京都市内に何回か行った気がしますね」

 でもどんな映画だったかは覚えていないという。

 「そのうちに家内のお母さんが、夜も寮に帰って自炊しているらしいと聞いて『かわいそうだからうちに連れてきなさい』と言ってくれて、夜もど厚かましく食べさせてもらうようになりました。なかなか優しいお母さんだったんです」

 朝子の母親が稲盛家に宛てて書いた手紙を読ませてもらったが、それは達意の文章で、深い教養と優しさを感…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。