思い邪なし

思い邪なし77 退社を決意した日(三)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

退社を決意した日(三)

 会社を作るといっても、稲盛には技術はあっても資金がない。まずは資金集めだ。

 この時、稲盛の退社独立の噂(うわさ)を聞きつけ、銀行から出向してきていた松風工業の前常務が一枚噛(か)ませてくれと言ってきた。

 京都(四条新京極上ル)にあった洋服屋か呉服屋をスポンサーに付けてやるということだったが、よくよく話を聞いてみると、一儲(もう)けしようという意図があまりに見え透いていたため、稲盛の方から断りを入れた。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。