ソフトバンクがLINEモバイルと戦略的提携を行い株式の51%を保有
ソフトバンクがLINEモバイルと戦略的提携を行い株式の51%を保有

IT・テクノロジー知ってトクするモバイルライフ

格安スマホ戦国時代 LINEソフトバンク入りの勝算

石野純也 / ケータイジャーナリスト

 LINEの傘下で格安スマホを運営するLINEモバイルが、ソフトバンクと戦略的な資本提携を結ぶことに合意した。LINEモバイルが第三者割当増資を行い、ソフトバンクが引き受ける。増資後は発行株式の51%をソフトバンクが持ち、LINEモバイルはソフトバンクの子会社になる。

 子会社化は3月中に行われる予定で、社長はLINEモバイルを立ち上げた嘉戸彩乃氏が続投する。ソフトバンクからは、LINEモバイル側に取締役を派遣する予定だ。

ソフトバンクの回線を利用

 ソフトバンクは、メインとなるソフトバンクのほか、サブブランドのワイモバイルを運営し、格安スマホ市場で最大のシェアを獲得している。ワイモバイルの前身はソフトバンクが買収したイー・アクセスとウィルコムだったこともあり、そこから受け継いだリアルの店舗が充実しているのは、他の格安スマホにない強みだ。大手通信事業者から回線を借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)とは異なり、ソフトバンク自身が運営しているため、回線品質も安定している。

 ソフトバンクにとって、LINEモバイルはソフトバンク、ワイモバイルに続く「第3のブランド」になる。ソフトバンクの宮内謙社長は「ユーザーにはいろいろな方々がいるので、三つ目のポジションを作っていけるのではないか」と自信をのぞかせた。一方傘下に収めるLINEモバイルについて宮内社長は「インターネットでもっと顧客を増やしたい」方針で、ワイモバイルとは価格帯だけでなく、販路でもすみ分ける可能性が高い。ソフトバンク側からは、端末調達のノウハウや、マーケティングでの協力をして、シェアを伸ばしていく考えだ。

 現状、LINEモバイルはドコモからネットワークを借り、利用者にサービスを提供しているが、新たに「ソフトバンク回線を提供することになるだろう」(ソフトバンク広報部)という。既存のドコモ回線をどうするかは、まだ白紙の状態。2社の回線を併存させるのか、ドコモの新規契約を打ち切るのかは、3月以降に決めていく方針を示している。

LINEモバイルは大手家電量販店にカウンターを設けて契約者獲得を強化していたがシェアは低調(写真はカウンター開設時のもの)
LINEモバイルは大手家電量販店にカウンターを設けて契約者獲得を強化していたがシェアは低調(写真はカウンター開設時のもの)

利用者は伸び悩み

 サブブランドについては、競合のKDDIも強化している。グループ会社のUQコミュニケーションがUQモバイルを運営しているほか、買収した子会社のビッグローブも、ビッグローブモバイルを展開している。ビッグローブモバイルも、LINEモバイルと同様、元々はドコモ回線を借りるMVNOだったが、KDDI傘下に入ってからは、au回線でのサービスも始めた。販路もネットが中心で、端末はそのままでSIMカードだけを変える利用者をターゲットにしている。ソフトバンクにとってのLINEモバイルも、これに近い位置づけになりそうだ。

 LINEモバイルは、LINEやツイッター、フェイスブックなどのサービスを利用した通信量から除外する「カウントフリー」をいち早く提供し、話題を集めていた。シンプルな料金体系も評価され、利用者からは91%という高い満足度を得ており、結果としてそれが0.92%という解約率の低さにつながっていた。解約率で比較すると、2017年度第3四半期が1.1%だったソフトバンクよりも低い。

LINEやツイッター、フェイスブックの通信量がカウントされない「カウントフリー」がLINEモバイルの強み
LINEやツイッター、フェイスブックの通信量がカウントされない「カウントフリー」がLINEモバイルの強み

 一方で、MVNOへの参入が後発だったこともあり、競合他社に比べ、契約者数は少なく、MMD研究所が昨年9月に発表した調査結果によると、MVNO市場のシェアは2.7%にとどまっていた。

 大手MVNOの統廃合が進み、楽天モバイルやIIJミオ、OCNモバイルONEが軒並み100万契約を突破する中、規模では大きな差をつけられていた状況がある。100万人前後の契約者を抱える事業者の中にも、黒字に転換できていないところがあり、LINEモバイルも利用者拡大が急務だった。通信事業のノウハウが豊富なソフトバンク傘下に入ることで、巻き返しも期待できそうだ。

 <「知ってトクするモバイルライフ」は毎週火曜日に掲載します>

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石野純也

石野純也

ケータイジャーナリスト

1978年、静岡県生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。2001年、宝島社に入社。当時急速に利用者数を伸ばしていた携帯電話関連のムック編集に携わる。05年には独立してフリーランスのジャーナリスト/ライターに転身。通信事業者、携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーなどを取材、幅広い媒体に原稿を執筆する。業界動向を記したビジネス書から、端末の解説書まで著書も多い。

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