政治・経済ビットコイン狂騒曲

「仮想通貨の要は秘密鍵」自分でPC管理すれば安全?

平野純一 / 経済プレミア編集部

 仮想通貨交換業者「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスによって流出した事件で、金融庁は1月29日、同社に業務改善命令を出すとともに、2月2日から立ち入り検査を行っている。

 金融庁は、コインチェックがどのような体制で顧客の口座を管理・保管していたかを詳細に調べている。金融庁は同社に対し、事件の原因究明、顧客への対応、リスク管理や経営管理の強化と責任の所在の明確化--などを早急に行って2月13日までに書面で報告することを求めており、コインチェックがどのような回答をするのかに注目が集まる。

パスワードを厳重に守る

 仮想通貨の安全を守るには、口座にアクセスするための「秘密鍵」(パスワード)を盗まれないようにすることが何より大切だ。このパスワードが、口座にある仮想通貨がその人のものであると証明できる唯一のものになるからだ。

記者会見するコインチェック幹部(2018年1月27日午前0時27分、手塚耕一郎撮影)
記者会見するコインチェック幹部(2018年1月27日午前0時27分、手塚耕一郎撮影)

 普段、仮想通貨交換所に口座を作って仮想通貨の取引をしている人は、そのパスワードを交換所に預けていることになる。もし、それが何らかの原因で盗まれれば、今回のコインチェックのようにコインが不正に流出してしまう。

 交換所を通じて仮想通貨の取引をしている場合、例えばAさんが持っている通貨の残高の情報は、交換所のサーバーの一部分を区切って記録されているわけではない。Aさんの保有残高を確認する手段は、Aさんのパスワードのみだ。それを使ってアクセスすることによって、世界中のコンピューターのどこかにあるブロックチェーンに書き込まれたAさんの残高を知ることができ、所有権を主張できる。つまり仮想通貨を守るとは、パスワードを盗まれないようにすることなのである。

究極は紙に書いて金庫に保存?

 現在、仮想通貨交換所に口座を開き、そこを通じて多くの人が仮想通貨の取り引きをするが、仮想通貨は自分のパソコンで直接管理することが可能だ。専用のソフトウエアをパソコンに入れて自分の「ウォレット(財布)」を作り、例えばパスワードはパソコンのUSBにつなぐ専用の機器などに入れてパソコンから外せば、インターネットからは切り離され、盗まれる心配はまずない。交換所に口座を開いている人も、顧客の判断で自分で管理をする時には、パスワードは交換所の管理からは外される。

 究極の管理法は、パスワードの文字列を紙に書いて金庫にでも保管しておくことだ。ただ万が一その紙をなくしてしまい、自分のウォレットにアクセスできなくなれば、そこで仮想通貨としての財産はすべて失ったのと同じになってしまうが。

コインチェック問題は国会でも取り上げられる。質問に答える麻生太郎財務相(2018年1月29日、川田雅浩撮影)
コインチェック問題は国会でも取り上げられる。質問に答える麻生太郎財務相(2018年1月29日、川田雅浩撮影)

 仮想通貨の問題に詳しい野村総合研究所ICT・メディア産業コンサルティング部の田中大輔・上級コンサルタントは「仮想通貨の管理は自分で責任を持っておこなうべき。仮想通貨の取引を行う人はそのようなリテラシー(読み解き判断する力)を持つことが基本です」と話す。そもそも現在のように交換所が多く設立される前の仮想通貨は、そのような形で利用されてきた。

FXのような投資対象にする人が多い

 ただ、現在は仮想通貨の取引をFX(外国為替証拠金取引)のような投資対象として使っている人がかなりいるとみられている。この場合は「証拠金」として一定金額の仮想通貨を交換所の口座に置く必要がある。そうなると、自分のウォレットを交換所のサーバーに預けておくことになる。

 いずれにしても、仮想通貨のセキュリティーとは、パスワードを盗まれないようにいかにして厳重に管理することができるかだ。その点でコインチェックはセキュリティーが甘かったと批判されても仕方がないだろう。

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平野純一

平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。

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