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35歳事務女性 育休明けに有休付与がなかった理由

井寄奈美・特定社会保険労務士

 A美さん(35)は、勤続10年の営業事務です。5年前に結婚して2人の子供を出産しました。いずれも育児休業を取得して復帰し勤務を続けています。ただ第2子の育休から復帰後に、年次有給休暇がない状態が続いていて困っています。

妊娠中の自宅安静と入院で有休がゼロに

 A美さんは第2子を妊娠した時、初期に流産の危険があると医師に診断され、自宅で安静にしたため数週間会社を休みました。いったんは復帰しましたが、産前産後休業(産休)の約1カ月半前には早産の危険があると診断され、入院しました。

 最初に休業した時点でほとんど有休が残っていなかったため、途中から病気休職扱いとなりました。病気休職中は無給でしたが、健康保険制度から傷病手当金を受給できました。

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/