記者会見で記者の質問に答える三菱マテリアルの竹内章社長(中央)=2018年2月8日、藤井達也撮影
記者会見で記者の質問に答える三菱マテリアルの竹内章社長(中央)=2018年2月8日、藤井達也撮影

政治・経済経済プレミア・トピックス

「対応が甘い」三菱マテリアル経営陣の指導力に疑問符

編集部

三菱マテリアル子会社の不正拡大(2)

 子会社の新たな検査データ改ざんが発覚した三菱マテリアル。竹内章社長が2月8日に行った記者会見は1時間半に及んだ。最初の不正発覚から2カ月半がたち、なお新たな不正が続出していることに対し、報道陣から経営陣の対応の甘さを問う声が相次いだ。

 報道陣の質問を整理してみよう。まず、昨年11月に最初に子会社3社の不正を公表した際に、グループの販売・製造拠点140カ所に対して行った調査で今回の不正が把握できなかったことについて「甘かったのではないか」「なぜ最初から徹底した調査をしなかったのか」との質問が出た。

三菱マテリアルの小野直樹副社長=2017年11月24日、西本勝撮影
三菱マテリアルの小野直樹副社長=2017年11月24日、西本勝撮影

 これに対し、会見に同席した小野直樹副社長は「11月の調査は十分な有効性を持つと判断していたが、当初考えた調査の手法が十分でなかった。書面調査を補強するために実地監査が必要と判断した」と述べ、製造拠点120カ所に絞り、不正が行われていないか実地調査を改めて行うことを明らかにした。

「対応が後手後手」と批判

 不正が発覚した後も、子会社でデータ改ざんした製品の出荷が続いていたことについて、「調査が甘かったことで対応が後手後手になったのではないか」と批判する声も相次いだ。

 竹内社長は「今回の事態は深刻に重く受け止め、誠に申し訳ないと思っている。ただ、そのときどきにおいて適切に判断したとは考えている」と答えるにとどまった。

 不正の徹底調査をするため、外部有識者だけをメンバーとする第三者委員会に調査を委ねるべきではないか、との声も出た。同社は不正発覚後、特別調査委員会を設置したが、委員は小野副社長、同社法務部長、社外取締役2人、日本能率協会役員。5人のうち4人が同社関係者だ。

 同様の不正が発覚した神戸製鋼は、社内調査に隠蔽(いんぺい)行為があったことを受けて、第三者だけをメンバーとする委員会の調査に切り替えている。三菱マテリアルの不正が拡大し、このまま特別調査委員会の主導で調査を続けても、信頼回復は期待できないのではないか、という問いかけだ。

三菱マテリアルの竹内章社長=2018年2月8日、藤井達也撮影
三菱マテリアルの竹内章社長=2018年2月8日、藤井達也撮影

 だが、竹内社長は「いまの特別調査委員会で独立性、客観性は担保されている。完全な第三者委員会に委ねることは考えていない」「今の構成メンバーで十分だ。昨年末に(不正があった子会社の)三菱伸銅の調査報告書の提出を受けたが、手加減した調査報告書にはなっていない。信頼している」と繰り返した。

竹内社長の責任を問う声

 こうした質疑が続くなかで、「子会社5社で不正が発覚し、対応も遅れている。トップとして責任はあると思うがどう考えているか」と、竹内社長の責任を問う質問が何度か飛びだした。

 竹内社長は「安全性の検証を速やかに進め、原因究明と再発防止策の立案と実行を図る。それを全力で進めることが現時点での私の使命」と述べただけだった。

 <次回「「経団連不正調査も水の泡?」三菱マテリアルの無責任」>

日産、神戸製鋼は何を間違えたのか」2月24日出版

 日産の無資格検査、神戸製鋼の品質検査データ改ざんに始まり、三菱マテリアル子会社も含めて日本を代表する大企業の不正が相次いで発覚しています。経済プレミアでは一連の不祥事を詳しく報じてきました。掲載記事に大幅に加筆して2月24日、書籍「日産、神戸製鋼は何を間違えたのか」(毎日新聞出版、税込み1080円)を出版します。

 筆者は今沢真・経済プレミア編集長兼論説委員です。書店やアマゾンなど通信販売でご予約下さい。

経済プレミア最新記事へ

「子会社でまた不正!?」三菱マテリアルで続く異常事態

三菱マテリアル「子会社不正の開示姿勢」に渦巻く疑念

不正把握後も出荷を続けた三菱電線は「処事光明」か

三菱グループに品質不正が飛び火「名門企業でなぜ!?」

神戸製鋼でまた不正!? 日本の製造業は大丈夫なのか

編集部

編集部

長く経済分野を取材してきた今沢真・毎日新聞論説委員を編集長にベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
twitter 毎日新聞経済プレミア編集部@mainichibiz
facebook 毎日新聞経済プレミア編集部https://www.facebook.com/mainichibiz

イチ押しコラム

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
地下化されたワルシャワ中央駅上の広場。スターリン建築と民主化後のビルが林立する(写真は筆者撮影)

西に移動させられた国ポーランド 首都ワルシャワの今

 ◇ポーランド・ワルシャワ編(1) 36年前、高校の文化祭のディベートで、「史上最大の英雄は誰か」というお題に、「ポーランドで共産…

メディア万華鏡
週刊文春11月1日号

メディア騒がすドタキャン沢田研二の「格好いい老後」

 騒ぎ過ぎじゃないか。取り上げ方の息もなんだか長い。ジュリーこと沢田研二さん(70)が、10月17日にさいたまスーパーアリーナで予…

職場のトラブルどう防ぐ?

「部下の夫から連日クレーム」42歳女性上司の困惑

 A美さん(42)は、夫が院長を務めるクリニックの事務長を務めています。2カ月前から経理担当として働いているB子さん(33)の夫か…

ニッポン金融ウラの裏

進む「キャッシュレス化」誰が責任を負っているのか

 キャッシュレス決済を巡る論議が高まり続けている。政府も外国人旅行者の増大を踏まえて、キャッシュレス化推進の旗を振り続けている。社…

知ってトクするモバイルライフ
デザインや機能を一新した「iPadプロ」。左が11型、右が12.9型

新「iPadプロ」はホームボタンなくして超高性能

 アップルは、米ニューヨークで10月30日(現地時間)、「iPadプロ」の新モデルを発表した。11月7日に発売される予定で、価格は…