思い邪なし

思い邪なし84 冒険心とハングリーさ(三)

北康利・作家
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第二章 京セラ設立

冒険心とハングリーさ(三)

 最初は工場を新築することも夢見ていたが、先立つもののない現状を考えると贅沢(ぜいたく)は言えない。宮木電機製作所の南側にあった木造スレート葺(ぶ)きの古い建物二棟を同社から借りることにして、そこを本社兼工場とした。昔の小学校の木造校舎のような建物だ。実際、戦時中は青年学校(尋常小学校卒業後、すぐ働きに出た子供たちへの社会教育を行っていた施設)だったという。

 製造設備を松風工業から持ち出すわけにはいかない。稲盛はできるだけ中古の機械を集めたほか、大切なもの…

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。