藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

旧ユーゴ・クロアチア 美しい街並みの先にある現実

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ザグレブ旧市街のシンボル・ザグレブ大聖堂。クロアチアはカトリックの国(写真は筆者撮影)
ザグレブ旧市街のシンボル・ザグレブ大聖堂。クロアチアはカトリックの国(写真は筆者撮影)

 旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国。「六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字を持つ、一つの国家」と称し、旧ソ連に従わない非同盟路線を貫いた。だが、そのソ連が解体すると後を追うように自壊した。残されたのは、こじれにこじれた経緯と、難しい地政学的位置の上に立ちすくむ七つの小国である。かつて「欧州の北朝鮮」と呼ばれる閉鎖国家だったアルバニアを合わせて、この忘れられたエリアを早回りしてみた。

 2014年の夏。この年5月のラオス行きから単身での海外旅行を再開した筆者は、2番目の行き先としてバルカン半島を選んだ。詰め込めるだけ多くの未訪問国を詰め込む実験的な旅程を組み、「ものは試し」と日本を出た。

 途上国の旅行にもかなり慣れた今に比べれば、スマホもなく情報も少ない3年半前当時の不安は大きく、行った先での体験は実に鮮烈だった。聞いていたのとは違う世界が、現地には待っていたのである。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。