思い邪なし

思い邪なし86 世界一を目指して(二)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

世界一を目指して(二)

 「長丁場だからこのくらいでボチボチ行こうなんて、新参者にペースを考える余裕があるものか。我々は、業界全体のマラソンのなかで、後発のビリもビリ、問題にならない素人ランナーだ。全力疾走でも追いつけるかどうかわからない。一生懸命走っても勝ち目はないのかもしれないが、せめてスタートだけでも、百メートルダッシュで行けるところまで行こうではないか」

 稲盛はそう言って鼓舞したが、スタートダッシュの機会はすぐにやってきた。創業した翌月、松下電子工業か…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。