思い邪なし

思い邪なし87 世界一を目指して(三)

北康利・作家
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第二章 京セラ設立

世界一を目指して(三)

 創業した昭和三十四年(一九五九年)の秋、役員会の席上で宮木社長から「敬天愛人」の書を渡された。複製ではあったが、稲盛は大事に表装し、応接間に掲げた。今でもこの書は初心を忘れまいと執務室に飾られている。

 創業一カ月目から黒字を計上した京都セラミックは、そのまま突っ走った。一年間、わき目もふらず走り続けた結果、初年度は売上高二六三〇万円、経常利益四三〇万円の黒字決算だった。宮木社長や西枝は、最初の数年間は赤字補てんもやむなしと覚悟していたというから嬉(うれ)しい誤算だった。

 だが稲盛はそれに満足することなく、さらなる高みを目指していくのである。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。