思い邪なし

思い邪なし88 企業の力を未来進行形で考える(一)

北康利・作家
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企業の力を未来進行形で考える(一)

 昭和三十五年(一九六〇年)の正月、稲盛は朝子とともに家の近くの車折神社に初詣に出かけた。初心を忘れないため、それから今に至るまで初詣はここと決めている。

 この時、朝子のおなかには長女しのぶが宿っていた。安産を願ったかいあって、しのぶは七月四日に無事誕生している。

 この年も快進撃は続いた。四月十一日には中央区銀座東五丁目一三の三原橋ビルにあった宮木電機製作所東京営業所内に京都セラミックの東京出張所が開設され、東京進出の橋頭堡(きょうとうほ)が築かれた。六月には初の社用車「スバル360」を購入。この二年前に発売され“てんとう虫”の愛称で親しまれた国民車だ。京セラの原点として、いろいろな写真にこの「スバル360」の可愛い姿が登場する。

 昭和三十五年七月一日、三百万円の増資を行い資本金は六百万円に増えた。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。