思い邪なし

思い邪なし91 若手社員の反乱(一)

北康利・作家
  • 文字
  • 印刷

第二章 京セラ設立

若手社員の反乱(一)

 設立二年目の昭和三十五年(一九六〇年)、高卒の新入社員を二十名迎え入れた。元気があって優秀そうな少年たちが入ってきてくれた。

 ところが彼らは入社直後から、

 「こんなできたばかりの会社とは知らなかった」

 と不満をこぼし始める。

 理由はあった。採用の際、宮木電機の立派な事務所を借りて面接をしたのだ。当然彼らは試験会場を本社だと思い込んでいる。ところが入社すると、宮木電機の古ぼけた木造の倉庫のような建物が自分たちの会社の本当の姿だったのだ。一階の焼成炉の出す熱が二階にまともに上がってくる。夏は猛烈な暑さの中、下着姿で汗だくになって働かされた。

この記事は有料記事です。

残り938文字(全文1229文字)

   

ご登録日から1カ月間は100円

いますぐ登録して続きを読む

または

登録済みの方はこちら

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。