
平昌オリンピックで銅メダルに輝いた日本の女子カーリングチーム。振り返れば惜しくも負けた準決勝の韓国戦で、試合の中継後、NHKのキャスターの男性が、言葉少なく敗北を受け止めていたのが印象的でした。
その様子が、キャスターという仕事を離れて、ほんとうに残念だという気持ちが自然に伝わってきて、「そんなに気を落とさないで」とこちらがいいたくなるほどでした。しかし、なんだか新鮮な感じもしました。
近年は、NHKでも民間の放送局並みにキャスターやリポーターが場を盛り上げようと言葉と表情をつくっているのがわかることがよくありますが、ほかの放送局に比べればトーンを抑えているのが常です。ただ、先のカーリング中継の場合は、感情を露骨に表わさない職人意識というよりも、自然にがっかりしているのがわかり共感を覚えました。
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川井龍介
ジャーナリスト
1980年慶応大学法学部卒。新聞記者などを経てフリーのジャーナリスト、ノンフィクションライター。実用的な文章技術を説いた「伝えるための教科書」(岩波ジュニア新書)をはじめ「大和コロニー~フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)、「フリーランスで生きるということ」(ちくまプリマ―新書)を2015年に出版。このほか「ノーノー・ボーイ」(ジョン・オカダ著、旬報社)の翻訳をてがける。