社会・カルチャー戦国武将の危機管理

関ケ原後の「領知あてがい」を家康が口頭で伝えた理由

小和田哲男 / 静岡大学名誉教授

 慶長5(1600)年9月15日の関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は、西軍として戦った石田三成ら88人の大名の所領を没収し、また毛利輝元ら5人の大名の減封処分を断行した。その結果、家康はたった一日の戦いで実に630万石余の所領配分の権利を手にしたのである。

 このあと、東軍勝利に貢献した諸大名への論功行賞があり、大名によっては2倍とか3倍の石高を得ていくことになる。ふつう、そのような場合、家康から各大名へ、領知宛行(あてがい)の判物(はんもつ)なり朱印状が与えられることになるが、このとき、各大名へ出されたはずの家康の判物なり朱印状は一通も残っていない。

 こうした領知宛行状はそれぞれの家にとって大事な証拠書類なので、途中でなくなるということはありえない…

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小和田哲男

小和田哲男

静岡大学名誉教授

戦国大名・今川氏のお膝元で、徳川家康の隠居先でもあった静岡市で1944年に生まれる。72年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は日本中世史。戦国時代史研究の第一人者として知られ、歴史番組でおなじみの顔。趣味は「城めぐり」で、公益財団法人「日本城郭協会」の理事長も務める。主な著書に「戦国の群像」(2009年、学研新書)、「黒田官兵衛 智謀の戦国軍師」(13年、平凡社新書)。公式サイト https://office-owada.com

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