思い邪なし

思い邪なし95 アメリカに求めた活路

北康利 / 作家

第三章 世界を見据えて

アメリカに求めた活路

 京セラは企業としては新参者だ。おまけにこの国には“系列”から部品調達をする閉鎖的な商慣習がまかり通っている。この壁を越えるため、稲盛は海外に着目した。

 (もし海外の有力エレクトロニクス企業に京セラの製品を採用してもらえるならば、たとえ無名に近い存在であろうと、一も二もなく日本の大手企業でも使ってもらえるだろう)(『敬天愛人』)

 昭和三十七年(一九六二年)七月、常務に昇格していた稲盛は、一カ月の予定で単身アメリカに渡る。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。