思い邪なし

思い邪なし99 満を持しての社長就任(一)

北康利 / 作家

第三章 世界を見据えて

満を持しての社長就任(一)

 社長交代は稲盛から言い出したものだった。

 昭和四十年(一九六五年)三月、青山社長のところに行き、社長をやらせて欲しいといきなり切り出したのだ。

 普通、どこの会社でも後継社長は社長が内々に打診して取締会で承認を取り、株主総会での決議を経て就任するものだろう。まして社長の青山の任期は二年。まだ就任して一年しか経(た)っていない。

 あまりのことに、さすがの青山も驚いた様子だったが、すぐに了解した。いつかは稲盛を社長にというのは会…

この記事は有料記事です。

残り1060文字(全文1298文字)

北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。