思い邪なし

思い邪なし104 世界進出と株式上場(三)

北康利・作家
  • 文字
  • 印刷

世界進出と株式上場(三)

 一九七〇年頃から京セラは高収益企業として注目を浴び始める。売上高は前年度比五〇%前後の成長を続け、経常利益率も約四〇%を実現していた。

 ちょうど企業の上場がブームとなっており、証券会社から勧誘が来た。上場すれば銀行借り入れに頼ることなく市場から資金を調達できる。

 昭和四十六年(一九七一年)十月、稲盛は大阪証券取引所第二部と地元の京都証券取引所への上場を決意する。

 ところがこの時、彼が全株式を新株で発行する方法を選んだことに世間は驚いた。所有株を売って創業者利益を得ることをせず、会社の資金調達を最優先したからだ。

この記事は有料記事です。

残り1031文字(全文1302文字)

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。