ドコモは3月15日に「パケットパック海外オプション」を開始
ドコモは3月15日に「パケットパック海外オプション」を開始

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「1日980円」ドコモ海外データプランのお得感

石野純也 / ケータイジャーナリスト

 NTTドコモは、海外渡航時に24時間980円でデータ通信を利用できる「パケットパック海外オプション」を、3月15日から始めた。パケットパック海外オプションは205の国や地域に対応しており、事前に申し込みさえしてあれば、利用者の好きなタイミングで通信を開始できる。

 料金は従来のプランと比べると、およそ3分の1に下がる。手間がかからないうえに、使い方によってはレンタルの海外用Wi-Fiルーターなどより割安になることもあり、ゴールデンウイークや夏休みなどの長期休暇には利用者が増えそうだ。

従来の海外データローミングは割高

 海外ローミングによるデータ通信は、これまで割高というイメージがつきまとっていた。もともとは料金が青天井だった。その後、定額制が導入されたが、大手通信事業者は3社とも1日2980円で足並みをそろえていた。10日間の海外旅行で毎日データ通信を使ったとすると料金はおよそ3万円。データ容量に制限がないのはメリットだったが、渡航先によっては、航空券や宿泊代より高くなってしまう。

「データローミング」を設定でオンにしアプリで利用開始ボタンを押すとすぐにデータ通信が始まる
「データローミング」を設定でオンにしアプリで利用開始ボタンを押すとすぐにデータ通信が始まる

 ドコモは、980円からの「海外1dayパケ」という選択肢も用意していたが、こちらは安い代わりに30メガバイト(MB)で通信速度に制限がかかってしまっていた。30MBはちょっと地図を表示したり、アプリに更新がかかったりするだけで、すぐになくなる容量で、お世辞にも使いやすいとは言えなかった。こうした状況のなか、auが24時間980円の「世界データ定額」を始めた。ドコモのパケットパック海外オプションは、これに対抗した格好だ。

 料金は3分の1になるが、これまでとは違い使い放題ではなくなった。パケットパック海外オプションでデータ通信を使うと、国内で契約しているデータプランから容量が引かれる。3ギガバイト(GB)プランなら3GBまで、5GBプランなら5GBまでしか使えないというわけだ。

 もっとも、日本にいるときと同じように使っていれば、容量が足りなくなる心配は少ない。慣れない海外では、地図での検索や翻訳アプリの利用が増える傾向にあるが、その場合は一時的に、データ容量の大きなプランに変更しておくといいだろう。

海外で電源を入れるとすぐに使える

 筆者も先日、中国でパケットパック海外オプションを使ってみた。ドコモは、1日2980円の「海外パケ・ホーダイ」も継続して提供しており、どちらにするかは利用者が選ばなければならない。この契約変更は電話やオンラインの「マイドコモ」でできる。ホテルのWi-Fiなど、別の通信環境があれば、渡航後でも申し込めるのは安心感が高い。

 中国に着き、スマホの電源を入れると、すぐにパケットパック海外オプションが利用可能である旨を伝えるSMSが届いた。ただし、この状態だと、まだデータ通信はできない。記載されたアドレスをタップするか、事前に日本でインストールしておいたアプリを起動して、利用開始ボタンを押す必要がある。パケットパック海外オプションは、利用開始ボタンを押した瞬間から24時間使えるため、無駄がなくていい。

中国でスマホの電源を入れるとすぐにSMSが届く
中国でスマホの電源を入れるとすぐにSMSが届く

 利用開始ボタンを押すと、すぐにデータ通信がつながり、日本にいるときと同じようにスマホを使うことができた。24時間たつとデータ通信がつながらなくなり、2日目も同じ手順で利用を開始した。2日間で約2000円かかったが、9月までは1回分がdポイントで還元されるため実質980円になり、お得感がある。

中国でもグーグルやツイッターが使える

 特に中国は、国内の通信網にネットを検閲する仕組みを入れており、ホテルのWi-Fiなどにつないでも、通常はグーグルやツイッター、フェイスブック、LINEなどのサービスが利用できず使い勝手が悪い。

 一方の国際ローミングは、2980円プラン、980円プランのどちらでも最終的にインターネットにつなぐのが日本の通信事業者になるため、これらのサービスも日本にいるときと同じように利用できる。仕事用に契約しているグーグルのメールサービスが、制限を受けずに送受信できるのは大きい。テザリングでパソコンやiPadなどもつなぎ、国内にいるとき以上にスマホが役に立った。

 ネットの検閲を行っている中国ならではの事情だが、これで24時間980円は安いと感じた。auに続き、ドコモがこの仕組みを導入したことで、国際ローミングの普及に弾みがつきそうだ。1日2980円と、料金が高止まりしているソフトバンクが追随することも期待したい。

 <「知ってトクするモバイルライフ」は毎週火曜日に掲載します>

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石野純也

石野純也

ケータイジャーナリスト

1978年、静岡県生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。2001年、宝島社に入社。当時急速に利用者数を伸ばしていた携帯電話関連のムック編集に携わる。05年には独立してフリーランスのジャーナリスト/ライターに転身。通信事業者、携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーなどを取材、幅広い媒体に原稿を執筆する。業界動向を記したビジネス書から、端末の解説書まで著書も多い。

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