切ない歌を探して

ソウル界の悲劇のレジェンドが歌う「孤独感と諦め」

森村潘・ジャーナリスト
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オーティス・レディング「ドック・オブ・ザ・ベイ・セッションズ」/ワーナーミュージック・ジャパン提供/WPCR-17982
オーティス・レディング「ドック・オブ・ザ・ベイ・セッションズ」/ワーナーミュージック・ジャパン提供/WPCR-17982

 春が来て、多くの人が新しい生活をはじめる。なかには、思いがけず遠いところへ赴任したり、転勤になった人もいるだろう。「なんでこんなところに来ちゃったのかな」と、ボーッと海を眺めている人がいるかもしれない。

 ソウル、R&Bの“レジェンド”、オーティス・レディングが、1967年に大ヒットさせた「ドック・オブ・ザ・ベイ」は、そんな気分をうたっている。20世紀にラジオ、テレビで流された曲のなかで、上位から6番目に多かったという人気は、ソウルファンだけでなく幅広く支持されてきたからだ。

 不幸にもレディングは、レコーディングの3日後に飛行機事故で26歳の生涯を終える。その悲劇が歌の孤独感とあいまってリスナーに与えた影響も大きい。

 シャウトするわけではなく、ソウルらしい“こぶし”がぐっと効いているわけでもない。抑制した歌い方で、自然と哀感が漂う異色の雰囲気なのだが、これが実に歌詞にあっている。なんともいえないさみしげなところがあるのだ。

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森村潘

ジャーナリスト

大手新聞、雑誌編集などを経てコミュニティー紙の編集などに携わる。ジャンルを超えて音楽を研究、アメリカ文化にも詳しい。