藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

紛争の地「コソボ」は想定外の発展をとげていた

藻谷浩介・地域エコノミスト
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家族連れでにぎわうプリシュティナの独立広場(写真は筆者撮影)
家族連れでにぎわうプリシュティナの独立広場(写真は筆者撮影)

 「六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字を持つ、一つの国家」と称しながら、1990年代初頭に解体した旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国。だがセルビア南部コソボ地域に住むアルバニア人と、彼らが話すアルバニア語は、五つの民族にも四つの言語にもカウントされていなかった。1999年のコソボ紛争を経て、「コソボ」は2008年にセルビアからの独立を宣言したが、今はどうなっているのか? 行かないとわからないその現状。

 16時半にマケドニア共和国の首都スコピエを出たミニバスは、狭い2車線道を北上すること30分で、コソボとの国境に差し掛かった。通る人もなかったボスニアからモンテネグロへの国境とは違って、自家用車が列を作っている。バス優先車線もなく、乗客のパスポートチェック含め通過に30分少々の時間を要した。

 そこからしばらく石灰岩質の崖がむき出しになった山地を走ると、コソボ盆地の田園地帯に出た。以降、首都プリシュティナまでの1時間ほどの間に、「予想に反して」というべきなのか、あるいは「薄々予感していた通り」と言うべきなのか、道路整備状況はみるみる良くなり、沿道の家はどんどん新しく立派になっていった。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。