
ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合が公正取引委員会から「待った」をかけられている。両行は当初、2017年4月に統合する計画だったが、いまだに統合時期のメドが立っていない。
ふくおかフィナンシャルグループは傘下に福岡銀行、熊本銀行、親和銀行の3行を持つ。このうち親和銀行(本店・長崎県佐世保市)が十八銀行の営業地盤と重なる。統合すると単純計算で長崎県内の貸し出しシェアは約7割まで高まることから、公取委は独占禁止法上、問題だと指摘してきた。
この問題をめぐり、金融庁が設置した有識者会議が4月11日、「経済産業構造の変化に応えられていない」と公取委を厳しく批判する趣旨の報告書を公表した。有識者会議は、地方で人口や企業数が急速に減少し、過去になかったような社会の構造変化が進むなかで、地域のシェアにこだわる公取委の「競争政策」を見直す必要があるとの考え方だ。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。