藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「21世紀ラオス」インドシナ半島要地としての生き方

藻谷浩介・地域エコノミスト
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黄金の仏舎利塔タート・ルアンはラオスのシンボル(写真は筆者撮影)
黄金の仏舎利塔タート・ルアンはラオスのシンボル(写真は筆者撮影)

 市街地正面のメコン川が国境となり、対岸にタイの家々が見えるラオスの首都ビエンチャン。首都の市街地から隣国がすぐそこに見える国は、国境が人為的に引かれたことの多いアフリカの数例を除いて、他にはない。しかもそのラオスとタイは、民族的には近い関係にありながら、過去は対立の歴史を刻んできた。市場経済化に舵(かじ)を切ったのはいいが、人口で10倍、経済力では何十倍も大きいタイにのみ込まれはしないだろうか。だが歩きながら、北の隣国・中国の台頭で、変化がさらに加速していることに気付く。

 ビエンチャン2日目。午前中をホテルで、執筆作業とメール返しに充てざるをえなかった筆者だが、12時から鋭意、街歩きを再開した。まずは北東4キロほどの、この街のシンボルたる仏舎利塔「タート・ルアン」を目指す。

 しばらく行くと右前方に、タラート・サオ(朝市)という名前の、大きな商業ビルが見えてきた。しかし入ってみると、建物デザインも店舗レイアウトも旧式の共同店舗スタイルで、しかも日曜日だというのに半数以上の店がシャッターを下ろしていた。街を見下ろそうと屋上まで上がってみると、これまた資材などが放置され荒廃した状態である。購買力の乏しさが原因か。あるいは車社会化と新興富裕層の消費の高度化に乗り遅れ、競争に…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。