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私立探偵・沢崎が14年ぶり登場「それまでの明日」

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 原尞(はら・りょう)の14年ぶりの小説「それまでの明日」(早川書房)を読んだ。手に汗握る、というのとは少し違う。展開はめまぐるしいほど、速いわけではない。章立てが細かいので読みやすいのだが、むしろ、じっくりと登場人物たちの織りなす人間模様を味わうのが楽しい。あれこれと考えながら、物語に親しめる。

 これは原作品のデビュー以来、変わらない魅力だといえるだろう。振り返れば、原は不思議な作家だ。40歳を過ぎて1988年にデビュー。長編小説は今作を入れて5作、短編集が1冊、エッセイ集が2冊。人気のある直木賞作家としては異例の寡作だ。

 しかも、小説はすべて私立探偵・沢崎が登場するハードボイルド。物語は一人称「私」の探偵の視点からのみ…

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重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。

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