切ない歌を探して

マイク真木「バラが咲いた」モダンフォークの先駆け

森村潘・ジャーナリスト
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「バラが咲いた」のシングルレコード=2016年4月13日、松田嘉徳撮影
「バラが咲いた」のシングルレコード=2016年4月13日、松田嘉徳撮影

 日本でフォークソングがはやりはじめた1960年代後半、「バラが咲いた」は象徴的な歌だった。66年、新人のマイク真木がギターを弾き語りかけるように歌う姿はすがすがしく、優しいメロディーとさわやかな歌詞が曲の清廉なイメージを膨らませた。

 フォークブームのなかで音楽がそれほど得意でない者もギターを買いだした時代、この曲はシンプルなコード進行と歌いやすさで、最初の練習曲として取り上げられたものだった。

 フォークの魅力の一つは、自ら楽器を奏で自作の曲を歌うスタイルにあった。言いたいことを歌にして世に訴えたのだ。この点からすると、「バラが咲いた」は純粋なフォークとは違った。すでに流行歌を世に送り出していたハマクラこと、浜口庫之助の作詞・作曲で、歌謡曲的な面があり、モダンフォークとも言われた。

 1917年神戸市に生まれた浜口は、幼いころから洋楽に親しみ戦前から音楽活動をし、戦後はバンドを組んでジャズブームのなかで歌手として脚光を浴びた。のちに作詞・作曲家に転身し、「愛して愛して愛しちゃったのよ」(田代美代子&和田弘とマヒナスターズ)や「夜霧よ今夜も有難う」(石原裕次郎)などヒット曲を手掛けた。

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森村潘

ジャーナリスト

大手新聞、雑誌編集などを経てコミュニティー紙の編集などに携わる。ジャンルを超えて音楽を研究、アメリカ文化にも詳しい。