藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

NZ北島を観光特急で縦断 11時間の旅で見えたもの

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ウェリントンから北上9時間、ハミルトン駅に停車中のノーザン・エクスプローラー号(写真は筆者撮影)
ウェリントンから北上9時間、ハミルトン駅に停車中のノーザン・エクスプローラー号(写真は筆者撮影)

 隣国の豪州からでも飛行機で3時間半かかる、世界地図の南東に孤立した先進国・ニュージーランド。観光客もビジネス客も見かけない首都ウェリントンの、秩序だった都市交通システムや高い住居水準に感心した筆者。しかし。スーパーの生鮮食品の品ぞろえの意外な乏しさに、この国の特殊な経済構造の一端を感じ取る。翌日11時間かけて、北島を観光列車で北へと縦断してみた道中、見えてきた国情とは。

 首都ウェリントンから最大都市オークランドへ。緯度で日本になぞらえれば、首都が青森市、オークランドが福島県いわき市の位置にあたるのだが、人口希薄な国なので、その間に高速道路はない。空路なら1時間だが、バスだと8時間、2日に1本走る観光特急だと11時間かかる。旧英領で左側通行だけにレンタカーという手もあったが、鉄道好きの筆者はあえて、日本の各駅停車よりも低速な観光特急を選んでみた。

 英国植民地時代に張り巡らされたニュージーランドの鉄道は、ウェリントンとオークランドそれぞれの通勤用ネットワークを除けば、現在は貨物用だ。そんな中、3種類の観光特急が細々と運行されている。有名なのはクライストチャーチから南島を西に横断する列車だが、筆者の乗った「ノーザン・エクスプローラー」号からも、晴れた日には雪を頂いた火山の連なる美しい景色が見えるらしい。しかしあいにく当日は終日雨で、展望は利か…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。