藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

極小国家モナコ 平和な賑わいに見るフランスとの違い

藻谷浩介・地域エコノミスト
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モナコ王宮から見た旧市街とマリーナ(写真は筆者撮影)
モナコ王宮から見た旧市街とマリーナ(写真は筆者撮影)

 2016年7月に、フランスのニースで起きたイスラム過激派によるテロ事件は、海沿いの歩行者天国に集まった花火見物客を、大型トラックでひき殺すというおぞましいものだった。その後同地はどうなっているのかと、翌17年5月に立ち寄ったのだが、その折にニースから東に20キロも離れていないモナコ公国にも足を下ろしてみて、両地の対照的な状況にいろいろと考えさせられたのである。まずは、面積わずか2平方キロの、極小国家モナコの存立基盤とは何かを考える。

 モナコはフランス南東部の端、イタリアとの国境近く、地中海北岸の傾斜地に張り付くように存在する公国だ。面積は、よくある表現でいえば東京ドーム45個分で、皇居(外苑含む)よりも小さい。1988年春、大学の卒業旅行の際に列車で通過したことがあるが、モナコ国内の2キロ弱は半分がトンネルで、あっという間に通り過ぎてしまった。

 その後、鉄道はさらに長いトンネル経由に付け替えられ、その中に新たに半地下のモナコ駅が設けられた。一度は降りてみたい、という29年越しの宿題を果たしに、イタリアのジェノバから3時間の国際特急で向かう。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。