藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

モナコ「金持ち白人国家」の成り立ちと生きる道

藻谷浩介・地域エコノミスト
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王宮横の迷路状の旧市街ではリゾート客がみやげ物を物色(写真は筆者撮影)
王宮横の迷路状の旧市街ではリゾート客がみやげ物を物色(写真は筆者撮影)

 幅数百メートル、長さ4キロ、面積2平方キロの極小の公国・モナコ。賑わう旧市街地の街路を王宮に向けて上りながら、通行人がほぼ白人で、フランスの町では普通に歩いている黒人も、髪を隠したムスリム女性も、非常に少ないことに気が付く。この奇妙な国家はどう運営されており、その存立基盤は何なのか。

 海に突き出した岩塊の上に建つ王宮まで上がってみると、クリーム色のシンプルな外見の建物だった。衛兵の詰め所はあるが中に人影はない。現モナコ公(母は女優のグレース・ケリー)は、ここには住んでいないのかもしれない。

 王宮前の広場からは、お金持ちの所有するクルーズ船が群れをなすモナコ港越しに、急斜面を家々のはい上がる壮大な景色が一望だ。反対に王宮裏手の崖からは、真っ青な海と、マリーナ付き高級アパート街が見下ろせる。どの方向を見てもピクチャレスク、最近の表現ならインスタ映えする景色である。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。