社会・カルチャー戦国武将の危機管理

「幼名が家督の証し」暗黙ルールで争いを防いだ大内家

小和田哲男 / 静岡大学名誉教授

 戦国時代、一般庶民は別として、武士だと一生の間に何度か名前を変えている。まず、生まれたとき幼名がつけられる。幼名は童名ともいう。そのあと、元服したとき、名乗り、すなわち諱(いみな)と仮名(けみょう)がつけられる。諱は実名(じつみょう)ともいう。さらに、官途・受領名でよばれ、出家すれば法名もある。

 たとえば、今川氏親を例にとれば、幼名は龍王丸(たつおうまる)で、元服して五郎氏親と名乗った。五郎が仮名、氏親が諱である。その後、修理大夫となり、出家して紹貴(じょうき)と号している。

 幼名の中には、伊達政宗の梵天丸、織田信雄の茶筅丸といったユニークなものもある。たいていはその子だけ…

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小和田哲男

小和田哲男

静岡大学名誉教授

戦国大名・今川氏のお膝元で、徳川家康の隠居先でもあった静岡市で1944年に生まれる。72年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は日本中世史。戦国時代史研究の第一人者として知られ、歴史番組でおなじみの顔。趣味は「城めぐり」で、公益財団法人「日本城郭協会」の理事長も務める。主な著書に「戦国の群像」(2009年、学研新書)、「黒田官兵衛 智謀の戦国軍師」(13年、平凡社新書)。公式サイト https://office-owada.com