藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

独立から16年「東ティモール」へ興味津々行ってみる

藻谷浩介・地域エコノミスト
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首都ディリの海岸から北を見る。赤道近くの海は波が静か。遠くに見えるアタウロ島も東ティモール(写真は筆者撮影)
首都ディリの海岸から北を見る。赤道近くの海は波が静か。遠くに見えるアタウロ島も東ティモール(写真は筆者撮影)

 東南アジア11カ国で、ブルネイの次に小さな東ティモール。1万3000以上の島々が東西幅5000キロ以上にわたって散らばるインドネシアの、南東隅にあるティモール島の、そのまた東半分だけが、多年の独立運動の末にインドネシアの支配を脱したのは2002年だった。いまはどんな状況になっているのか。そして、人口2億6000万人(世界4位)のインドネシアに囲まれた、人口120万人の小国の存立基盤とは何なのか。

 今年(2018年)5月。シンガポールから注文の来た講演の機会に、東南アジア11カ国の中で唯一未訪問の、東ティモールに寄ってみようと考えた。そんなところまで行く前に、ジャカルタを定点観測するとか、スマトラ島やスラウェシ島、バリ島といった未訪問の島々に行くのが筋だと、内心の声がするのだが、独立国を名乗っているとついつい先にのぞいてみたくなる。しかし調べてみると、行く手段も、行ってできることも限られた、なかなか難しい場所だった。

 毎日1000便の飛行機が発着するシンガポールのチャンギ空港。しかしそこから東ティモールの首都ディリに飛ぶ便は、毎週月曜日に1往復しかない。名前はティモール航空だが、実態はシルクエア(シンガポール航空の子会社)のボーイング737機を乗員ごとチャーターしたものだ。乗客が少ないので、最近週2便から1便に削減されてしまったという。1週間滞在する用事がないと、使えても片道だけだ。所要時間は3時間40分。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。